GAME de B-DASH

ゲームが特別うまい訳でもないけれど、ちょっぴり古いゲームから最新のゲームまでゲームと名がつく物が好きな人のブログ。

ピピンアットマーク

ピピンアットマーク』
1996年3月28日にバンダイから発売されました。
本体の見た目は結構好きです。ロゴ含めなんかかわいい感じ。
このマシンもゲーム機ではなくマルチメディアマシンとして登場しました。
20世紀の終わり頃はマルチメディアという言葉に未来を感じた世の中でした。
CPUには当時の高級機であったPower Macで採用されていたPower PCを搭載。
構造上ではMacとの共通点が多く、『10万以下で買えるMac』と話題になったことも。
しかし、ハードディスクは積んでおらず、システムOSが不安定(MacOS 7.5.x互換)で、ソフトもピピン対応を謳っているものしか動かない。
CD-ROMドライブは少し高速な物を積んでいまして、サターンやプレイステーションの2倍速ではなく、4倍速となっていました。
しかし、起動時には毎回CDからブートしなければならないなど読み込み時間は長く、ハードディスクは無いためインストールも出来ずイライラする仕様であったようです。
それでも電話回線によるインターネット接続を可能とした初のゲーム機とも言える存在で、コントローラーの真ん中にはトラックボールを搭載しているなど先進的に思える部分も。
おまけに拡張機能も備えており、メモリー増設や、PCIスロットまで用意していた。
当時のAppleMicrosoftWindowsに覇権争いに破れ、会社存続が危ぶまれる程散々な状態でした。実際キヤノンに身売りしようとしましたが断られています。
そこで他社からもMac互換のマシンを出してもらい、Windowsに少しでも対抗しようと企画したのでした。
この企画に乗ったバンダイは当初もっと本格的なマシンを想定しており、50万台を売り上げる予定でいました。しかしAppleからもっと性能をMacに近づけ過ぎると本家Macが売れなくなるので、あくまでもゲーム機にするようにと要請が入ります。
その結果64800円というMacにしては安いが、ゲーム機としては高すぎるマシンになってしまったのでした。
このようにバンダイの思想から大きく離れ、迷走し、Apple側も担当者の退職が相次ぎ開発は難航。納期に間に合わせるために社員は過重労働を言い渡され、ストライキが起こるなど、社内でもゴタゴタがあるマシンなので微妙なところ満載。
ゲーム機として見た場合の性能は既に発売されているプレイステーションやサターンには到底及ばないし、Macとして見ても性能が低い。しかしその割には本体価格は高い。しかも全てのMacのソフトが動くわけではない。
ピピンアットマークにはハードディスクが搭載されていないので当然だが、Macのソフトのパッケージを見てこれはピピンで動くのかを調べたり、雑誌で情報を得なければならなかったのだ。
少数ながらピピン専用ソフトなどもあったが、内容は紙芝居みたいなソフトばかりで、これならバンダイの前身機『プレイディア』で出来るんじゃないかという感じで、本当に申し訳程度な内容だった。
発売後もAppleが協力する事は全く無く、ゲーム機なのかMacなのか良く分からない中途半端で無駄に高い使用用途の良く分からないピピンは全世界で4万台程度しか売れなかった。
バンダイは260億円の赤字を出して1998年3月13日に発売停止した。
ピピンは世界一売れなかったゲーム機として名を残している。
一方、ピピンにハードディスクを付けるとPower Macとして動くらしい。オプションでハードディスクを発売すれば良かったのに。
もしピピンが3~5年遅く発売されていればもっと売れていたと思うのは私だけなのだろうか。
奇しくもピピンが発売停止した2か月後の1998年5月6日に初代iMacが発売され爆発的人気になりMacユーザーが増えました。この頃ならインターネットにしてもかなり一般的になっていたと思うのです。
ピピンは時代を先取りした為に人々からの理解を得ることがなく静かに市場から消えてしまった。
マルチメディアという夢の言葉に影響されながら本当に未来を見ていたマシンだったのかもしれない。